平成19年度 税制改正 税理士 吉田貢

昨年末に発表された平成19年度の税制改正の主な点をまとめました

減価償却制度≫
平成19年4月1日以後に取得される減価償却資産について・・・
1.残存価額を廃止する → 定率法償却率は定額法の2.5倍の率とする
2.償却可能限度額を廃止する → 耐用年数経過時点に備忘価額1円まで償却できることとする
3.固定資産税の償却資産については、現行の評価方法を維持する
≪中小企業・ベンチャー支援≫
1.特定同族会社の留保金課税制度の適用対象から資本金1億円以下の法人を除外する
2.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる
3.取引相場のない種類株式の相続税等の評価方法の明確化
株主総会での議決権がない株式等の種類株式のうち、中小企業の事業承継において活用が期待される一定のものについて、評価方法を明確化する
4.取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例の創設
推定相続人の一人(受贈者)が、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に取引相場のない株式等の贈与を受ける場合には、60歳以上の親からの贈与についても、一定の要件の下で、相続時精算課税制度の適用を認めることとし、2,500万円の非課税枠を500万円上乗せし3,000万円とする等の措置を講ずる
≪役員給与の整備≫
法人の支給する役員給与について、次のとおり整備を行う
1.定期同額給与について、職制上の地位の変更等により改定がされた定期給与についても定期同額給与として取り扱うことを明確化する
2.事前確定届出給与について、その届出期限を役員給与に係る定めに関する決議をする株主総会等の日から1月を経過する日(その日が職務の執行を開始する日の属する会計期間開始の日から4月を経過する日後である場合には、当該4月を経過する日)とするほか、同族会社以外の法人が定期給与を受けていない役員に対して支給する給与について、届出を不要とする
≪住宅税制≫
1.平成19年又は平成20年に住宅の取得等をし、居住の用に供した場合について、控除期間15年の所得税額の特別控除の特例を創設し、現行の住宅ローン控除との選択適用とする
2.住宅のバリアフリー改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する
3.特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用期限を家屋の床面積要件の上限(現行280㎡)を撤廃した上で3年延長する(平成19年4月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用)
4.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長する
5.特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長する
≪土地税制≫
特定資産の買換えの場合等の課税の特例のうち一定のものの適用期限を2年延長する
≪円滑・適正な納税のための環境整備≫
1.電子証明書を取得した個人が、平成19年分又は平成20年分の所得税の納税申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う場合には、一定の要件の下、その者のその年分の所得税の額から5,000円を控除する。(1回限り)
2.税務手続の電子化促進措置として・・・・ 医療費領収書等の第三者作成書類の送付等を省略できる・ 税理士等に依頼し税務書類を作成・申請等を行う者や源泉所得税の徴収高計算書の送信を行う者、税務署等の端末を使用して申請等を行う者は電子署名を省略できる
≪再チャレンジ支援寄附金税制の創設≫
再チャレンジ支援寄附金税制を創設し、一般の寄附金の損金算入限度額とは別に、損金算入限度額の範囲内で損金算入ができる措置等を講ずる
≪金融・証券税制≫
上場株式等の配当等・譲渡所得等に係る軽減税率(10%)の適用期限を1年延長する