オンライン申請と欠損補填 司法書士 垣木絹子

オンライン申請に係る登録免許税の税額控除
平成20年1月から2年間の時限措置として、オンラインにより、所有権保存登記・所有権移転登記・(根)抵当権設定登記(以上不動産)及び会社設立登記を申請する場合、登録免許税の10%(上限5000円)が減税されることとなりました。
5千円値引きされるからという理由で会社設立の決断をされる社長はいらっしゃらないと思いますが、せっかくの制度です。これから設立等をお考えの方は、是非メリットを享受してください。
オンラインで登記事項証明書を請求すると700円に減額されるようになったのが昨年でした。法務省はオンライン普及の為に必死ですが、我々司法書士も必死です。


欠損填補と資本金・資本準備金の額の減少
欠損填補の為に減資手続きをしたい」という話をたまにいただきます。
登記事項証明書だけをみると、資本金の額の欄が「1200万」から「1000万」に変わる、たったこれだけのことなのですが、資本金の額を減少するには、債権者保護手続を行う必要があります。
要約しますと、官報に資本金の額を減少する旨及び異議がある債権者は申し出てくださいという内容の公告をし、かつ会社が把握している債権者には個別に公告と同趣旨の通知を出します。もし、この会社が決算公告をしていない会社であれば、この手続きに先立ち、もしくは同時に決算公告をする必要があります。
この一連の手続きをするだけでもちょっとした出費になり、それを聞いて手続きを取らない選択をされる会社さんもいらっしゃいます。
それでは、この方法はどうでしょうか?欠損填補をするために、資本金の額を減らすのではなく、準備金の額を減少する方法です。

  1. 定時株主総会において、準備金の額を減少する決議をする
  2. 準備金の額の減少を行った後も分配可能額が0以下である

この2つの要件を満たす場合は、債権者保護手続は不要です。
そして、この手続の場合は、なんと!と言いますか、もちろん!と言いますか、登記手続も不要ですので、登記する際の登録免許税も不要です。理由は、と言いますと、準備金の額は登記事項ではないですね。
欠損填補だけをお考えの会社さんは是非ご検討下さい。(準備金が無い場合や資本金の額を減らす必要がある別の目的がある場合は使えません。)