通院(特約)に対する豆知識 保険コンサル 谷口代司夫


今回は損害保険会社と生命保険会社が取り扱う通院(特約)に対する豆知識についてです。
先日、某損害保険会社主催の半日研修に参加してきました。研修には、保険金支払担当社員による保険金支払事例の勉強会が組み込まれていました。
その中でも、通院(特約)に関する研修が非常に参考になりましたので、一部紹介させて頂きます。
損害保険会社が扱う商品で、非常に一般的な傷害保険というものがあります。傷害保険とは、傷害による死亡・後遺障害・入院をメインとし様々な特約が選択できるようになっている商品です。上記商品には通院補償という特約を付加することができます。
某損害保険会社のパンフレットに書かれている内容は、通院補償の欄に
『傷害事故の日からその日を含めて1,000日目までの通院に対して1日につき通院保険日額をお支払します(90日限度)。ただし、平常の業務または生活に支障がない程度に回復したとき以降の通院に対しては、保険金をお支払しません。
と記載されています。この内容を、例えば足の骨折等によりギブス固定をし、歩行時に松葉杖を使っている主婦の患者さんがいたとします。上記赤の部分を解釈すると、ギブス固定も取れ、松葉杖がなくとも、歩行や家事ができるようになった以降の通院は対象外になると解釈できます。(赤の部分の生活に支障がない程度に回復した以降というのは、保険会社が担当医による入院証明書等の記載で判断できる場合もあれば、担当医に状況を聞くことにより判断することもあります。)
この内容だけを聞かれれば皆さんはどのようなイメージをもたれるのでしょう。このように、パンフレットにはそのように簡略した記載がされていますが、もっと詳細な内容が記載されているのが約款です。その約款の該当箇所には、実は下記のような文章も記載されています。
被保険者が通院しない場合においても、骨折等の傷害を被った部位を固定する為に医師の指示によりギブス等を常時装着した結果、平常の業務に従事することまたは平常の生活に著しい支障が生じたと当会社が認めたときは、その日数に対し、通院保険金を支払います。
すなわち、平常の生活に著しい支障が生じたと会社が認めた期間に関しては、通院をしていない日であっても通院保険金が支払われるという解釈になります。(注:全ての損保会社の商品を見たわけではありませんので、会社によっては異なる場合も考えられます。したがって、ご加入の際もしくは、既に加入されている場合はその保険会社の約款が正しいとご判断下さい。) これは生命保険の通院特約と大きく違う点です。
もちろん、日数に関しては各社または、商品により限度日数が設けられていたり、退院後の通院であったり、何日以上の入院をされた後の退院後の通院といったような条件があります。
これらの条件に合致し、通院給付金の支払対象になった場合、生命保険の通院特約は実際に通院した日が、限度日数の範囲内で通院保険金の支払対象になります。
この機会に、ご自身の加入されておられる保険の内容を確認されてみてはいかがでしょうか。