有限会社を株式会社への変更 司法書士 垣木 絹子

 以前に、「登記事項証明書をインターネットで送付請求すると、法務局が郵送してくれるサービス」を紹介しました。オンライン請求に限り、本年4月から、なんと現行1000円の手数料が700円へ引き下げられることになりました!長年会社経営をされている社長様にとっては、登記簿謄本の手数料は値上げ、値上げでいつのまにか千円になっていたはずです。それが700円で切手代も負担せずに送って来てくれる、こんな便利なサービスを利用しないてはありません。
詳しくは、法務省のホームページまで。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji132.html
(※ 法務局の窓口で申請する場合は、従前通り千円です。)



さて、今回は、「有限会社」を「株式会社」へ変更する手続きについて取り上げたいと思います。
平成18年5月1日に会社法が施行され、有限会社を新しく設立することができなくなってしまいました。そして、それまでの有限会社は、有限会社という名前のついた「株式会社」ということになりました。ちなみに、有限会社という名前のついた株式会社のことを「特例有限会社」と言います。なんか、ややこしいですね。

会社法施行前は、有限会社を株式会社へ変更(組織変更)するには、資産が1000万円以上なければならない、という要件があったため、変更したくてもできない会社がありました。しかし、現在では、この資産要件がなくなり、次の要件を満たせばよいことになりました。
要件
株主総会で定款変更決議を行い、商号に「株式会社」という文字を使うこと。
②登記をすること。
 要件は、たったこれだけです。株主総会で商号変更の決議を行い、その旨の登記申請をすれば、昨日まで有限会社だったものが株式会社となります。
 登記申請は、有限会社の「解散」と株式会社の「設立」登記となり、違和感を覚えるかもしれませんが、法人としては、商号を変えただけの同一性のある会社となります。

 ところで、特例有限会社は株式会社と違う点があります。主なものを2点あげると、株式会社では、役員に「任期」がありますが、特例有限会社には法律上の任期はありません。株式会社は計算書類の公告をしなければなりませんが、特例有限会社にはその義務はありません。

 ここで注意が必要なのですが、一旦、有限会社から株式会社へ変更すると、株式会社から有限会社へ変更することはできません! 
 それから、特例有限会社は、吸収合併した場合の存続会社、吸収分割した場合の承継会社となることができません。
 変更の必要性や将来の動向をよく考えて決定してください。