不動産鑑定士の仕事って? 不動産鑑定士 秋田 悟朗

みなさん、はじめまして。不動産鑑定士の秋田悟朗です。
まだまだ若いつもりでいましたが、つい先日、バカボンパパと同い年になってしまいました。
私は信託銀行、不動産会社を経て2002年4月に独立開業して今に至ります。幸いなことに今まで鑑定のみならず様々な不動産業務を経験してきたおかげで、それらを通じて培ってきた幅広い視野・実務経験がいまの私の大きな武器となっています。
私の基本的なスタンスは、とかく不透明でわかりにくいといわれる不動産の価格をわかりやすく伝えていきたい、これに尽きます。



不動産鑑定士という仕事は世間一般には馴染みが薄く、我々が普段どんな仕事をしているかイメージしにくい方が多いこととと思います。

そこで、今回のテーマは「不動産鑑定士の仕事って?」です。

老若男女を問わずいろいろな方から、「不動産鑑定士ってなにしてんの?不動産の値段を決めてるの?」というようなことをよく聞かれますが、そういうとき、私はこうお答えすることが多いです。
「値段を決めるのはマーケット。鑑定士はマーケットの声に耳を傾け、適正なマーケットバリューを把握してお客様のニーズにお応えする仕事です」。
価格はあくまでマーケットで売り手買い手によって形成されるもので、誤解を恐れずあえていえば、鑑定士はそれを後追いするしかありません。もちろん単なる後追いで終わるか、将来についてしっかり分析予測できるか、鑑定士のスキルが問われるところではありますが。
例えば、坪単価100万円が相場の住宅団地があって、似たような画地が並んでいても、実際の取引は95〜105万あるいはもっと幅があるかもしれません。幅が生ずる主な要因は角地だの道路向きだのあるでしょうが、それ以外に、売り手の事情や買い手の思惑なども大きな要因となります。
上昇時には買い手は先高を見越して多少割高でも買うでしょうし、下落時に売り手が先安を見越して少々割安でも手放すことは数年前までよくみられた現象です。
つまり、同じ土地であっても、そのときのマーケットの状況、参加者としての立場の違いによって、様々な切り口があり、それぞれの断面によって微妙な温度差が生ずるため、提示される価格が大きく異なることが往々にしてあるのです。そうした複雑多様な要因を多角的に分析したうえで価値判断をしなければ、不動産の本当の適正価値の把握は困難であるといえます。
この仕事に長く携わっていると、本当に様々な属性で様々な立場のお客さんから、様々な目的・条件でのご依頼を頂きます。
売買・賃貸借・交換などの交渉材料としてはもとより、相続や関係者間売買といった税務、事業再編や会社分割などの経営戦略立案、担保評価、訴訟など、様々な局面で鑑定評価が活用されておりますし、鑑定評価以外にも、マーケットリサーチやアドバイザリー業務など専門家としての客観的な意見を求められることもしばしばです。
不動産はややもすると一物二価、一物三価と言われて久しく、以前と比べると最近は透明性がだいぶ高くなってきたとも言われるようになりましたが、それでもまだまだ不透明な面が残るのも事実ですので、不動産に関して第三者的な中立な立場の専門家の意見が必要な場合には、不動産鑑定士などの専門家にご相談されることをおすすめします。